ひび割れ調査をデジタル技術で効率化

コンクリート構造物などのひび割れの原因は、乾燥収縮や温度応力、鉄筋腐食や地震などの災害など様々な原因がありますが、健全なコンクリート構造物であっても多少の差こそあれ、ひび割れは発生しています。ひび割れを放置していると、やがて中の鉄筋が錆びて拡大していきます。また、水が入り込むとコンクリートの強度そのものが低下してしまうため、早めの修復が必要です。

一般的なひび割れの調査は目視で行われますが、近年ではデジタル化が進み、撮影した可視画像から正確にひび割れ幅を調査することが可能となっています。スギテックでは、独自開発したひび割れの自動抽出AIソリューション「スマートクラックチェッカー」や、クラボウ社の「Kuraves」などを活用し、効率的かつ客観的な調査結果をご提供しています。

コンクリート構造物の調査撮影における強み

ひび割れの解析・抽出はソフトウェアによる自動解析技術を採用し、ひび割れ長さや幅を自動抽出しています。解析の際に重要となる対象物の可視画像については、長距離からも高解像度で撮影可能な「高解像度一眼レフ+超望遠レンズ」のシステムや、広範囲を超高解像度で記録できる「1.5億画素カメラ」などを活用。一般的なカメラではできない撮影を実現し、足場の仮設などが発生しない効率的でコストを抑える手法を確立しています。

遠距離撮影やドローンを使わない高所撮影を可能にするシステム

[超望遠高画素カメラ] SONYα7RⅣ+600mmレンズ

超望遠レンズで約200m離れた位置から、対象の構造物の0.2mmのクラックを記録することができ、より安全な調査が可能になります。また、地上からの高所撮影も可能になることから、ドローンを使わない高所撮影もできるため費用を抑えることが可能です。

  • 画像解像度:6100万画素
  • 撮影可能距離:最大200m
  • 検出可能クラック幅:0.2mm

超高解像度で広範囲を1回で撮影できるので、撮影時間を大幅に短縮可能

[1.5億画素カメラ] PhaseONE IXM-RS150F

従来のカメラは撮影対象に近づき、多数の撮影を行っていく必要があるため、時間が掛かる上に安全面での問題もあります。1.5億画素カメラでは、その解像度で構造物を広範囲に渡り1回の撮影で収めることができるため、安全に且つ短時間で撮影できます。

  • 画像解像度:1.5億画素
  • 撮影可能距離:最大50m
  • 検出可能クラック幅:0.2mm

解析事例:某インフラ構造物

- CRACK SURVEY -

撮影した可視画像は、専用の解析ソフトウェアで自動解析を行います。以下の事例では、地上から撮影した橋脚の可視画像を「正対補正※」→「結合(オルソ画像化)」します。結合した画像は解析ソフト「Kuraves(クラヴェス)」を使用することで、自動的にひび割れの幅や長さが色分けされ抽出されます。また、図面と抽出結果、可視画像を合わせることで、ひび割れの位置も正確に分かります。
(解析結果はjpg、bmp、dxf、csvなどで出力可能)

1.可視画像撮影
2.オルソ画像化
3.ひび割れ解析(自動)
4.図面+可視画像+解析画像

事例:某地下鉄構内 内壁調査-1

事例:某地下鉄構内 内壁調査-2

事例:某橋脚調査

事例:某物流倉庫スラブ調査

※正対補正(あおり補正)とは:下から上に向かって撮影した場合など、斜めから撮影した画像を補正し正対化画像にする技術。正対補正を行うことで、補正画像と構造物の画像を重ね合わせることができるため、正確な位置情報の劣化位置が特定可能となる。

また、可視画像と熱画像の両方を重ね合わせることで、熱画像の温度変温部に対して可視画像で得られる汚れ・ひび割れ等の情報の確認が可能であることから、解析が行いやすく精度の向上が見込める。

従来のひび割れ調査フローとの比較

- CRACK SURVEY -

下図は、従来のひび割れ調査のワークフローと、Kuraves-Actisを活用したひび割れ計測システムのワークフローを比較したものです。従来のアナログ調査と比べ現場での調査作業、データ整理作業ともに大幅に効率化されていることが分かります。